弘中泰雅著 ムダをなくして利益を生み出す 食品工場の生産管理 | |||||
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日本生産管理学会(JSPM)2012年学会賞受賞 佐賀大学図書館推薦図書 |
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生産性向上と顧客満足を実現する食品工場の品質管理 よくわかる「異常管理」の本
*この本は、書店によって、経営管理、経営工学、生産管理などの棚と、食品衛生、食品の品質管理、食品化学などの棚に並べられているケースがあるようです。 |
書評&新刊書紹介 弘中泰雅 著 ムダをなくして利益を生み出す 食品工場の生産管理 |
日本生産管理学会論文誌 Vol.18,No.2,2012.3 |
書 評 弘中泰雅著 『ムダをなくして利益を生み出す食品工場の生産管理』 日刊工業新聞社 2011年8月発刊 日本生産管理学会副会長 関西学院大学 福井幸男教授 あらまし・本書は、長らく食品関係のコンサルタントとして活躍されてきている著者が、これまでの経験を元に、ともすれば閑観視されがちな食品工業の実情に警鐘をならした待望の書である。「ムダをなくして利益を生み出す」との巻頭の副題に有る様に、きわめて実践的な書であり、この業界の経営者のみならず実際に職務に携わってる方にも、そして日頃理論研究に忙しい研究者にとっても、目から鱗のアドバイスに満ちているものである。マクロ的な視点を導入して、他の製造業たとえば電機業界などとの生産性の比較も展開してから本論にはいるという周到さを示している。マクロ統計とミクロ経営のバランスのとれた好著でもある。評者としては、是非、一読を会員諸氏にお勧めしたい書物の一つである。 本書の構成 本書は第1章の「なぜ、食品工場の生産性は低いのか?」、第2章の「食品工場における管理」、第3章「食品工場の生産性向上の手法」そして第4章「実践事例」の計4章構成となっている。 まず、本書の問題意識を紹介する。まえがきにおいて著者はつぎのように書いている。「生産性を上げたいが、どうしても思い通りにいかない、生産性を上げることで、なんとか残業時間を削減したい。そんなことを考えている食品工場が多いのではないでしょうか」、これが問題設定の発端である。著者は一気呵成にこう書いている。「一般的な製造業の工場に比べ、食品工場の生産性は低いと言われています。その原因は何でしょうか。そしてどうすればその生産性は向上するでしょうか。そしてどうすればその生産性は向上するのでしょうか。これが以前から私の考えてきたことであり、この本のテーマです。」 明快である。まえがきには、著者の食品工場の生産性向上にかける情熱と熱意がみなぎっている。そして本書全体をこの情熱、熱意そして愛情が貫かれている。まえがきの最後には、熱意だけでは成り立たないとして、必要なものは生産管理の知識であると宣言している。本書は、多くの食品工場を指導されてきた体験に裏付けられた知識やノウハウが詰まったテキストと言ってよいであろう。 第1章では、食品製造業の現状をマクロ的な観点から紹介している。2008年の製造業全体では、従業員数836万人、この中で食品製造業の立ち位置は、従業員数114万人で全体の13.6%を占めている。一人当たりの付加価値額で見ると、全体平均が1211万円に対して、食品は763万円と全体平均の約63%と小さい。このデータに著者の基本的な問題意識が根付いている。 食料品製造業40業種を仔細にみると、乳製品、醤油、ソース、調味料、精麦、小麦粉、油脂などの製造業全体の平均を上回る12部門と、平均以下の残り28部門に大別できるという。水産練り製品、パン、生菓子、麺類、豆腐、惣菜などはとくに労働集約型の日配食品の中小企業が多いと言う。それでは、なぜこの業界の生産性が低いのか、その直感的な理由として、5点、つまり、@人口の自然増に支えられてきた甘い体質、A技術進歩が少なかった、B伝統的職人体質、C生産管理知識の欠如、そしてD段取り時間の多さをあげている。 とくに最後のDは、作業開始から終了までの「メイクスパン」関連で、次章以下の論理的展開のポイントの一つになっていることは注目に値する。また、Aは、全要素生産性(TFP)の低迷の指摘である。マクロデータを駆使した分析から、食品製造業の従業員ベース50-499人という中規模工場が就業者構成比でみて最大であるにもかかわらず、ここの付加価値生産性が上がっていないと指摘して、中小零細よりもむしろこの規模の工場の生産性向上が急務として、次章につないでいる。 そこで、第2章では、生産管理とは品質、コスト、そして配送の3大要素があるわけだが、とくに著者は「生産管理の本質は、時間との戦いだ」と小気味よい。これは、食品の生産が機械部品の組み立てを主流とする組立型生産ではなく、発酵し劣化し腐敗する可能性のある原材料から製品の流れが形を変化させていくプロセス生産であるので、従来の組立型生産管理の手法はなじまないと正鵠をついている。工程管理、購買管理、在庫管理、品質管理、安全性、管理会計そして人的管理と基本的な用語を簡潔に解説している。守備範囲が広いことと、解説の深さのバランスは、こうしたテキストではいつも難しいだろう。この章のキーワードとして一語をあげるとしたならば、そして常に著書の念頭にあるのは、恐らく、「メイクスパン」であろう。このキーワードの最小化(p.34)とか短縮化(p.40)が出てくる。ただこの章はやや総花的な印象を免れないところが惜しまれる。 第3章と第4章はペアになっている。前者が理論編であり、後者が実践編とみてよい。実際、後者のタイトルは「実践事例」である。読み方としては、先に第4章を読んで、多くの実践的な事例を学んだ後で、第3章に挑戦する方が理解は早い、少なくとも評者はそうであった。 第4章で扱われている興味深い多くの事例は、工場を一瞥しただけで問題はここだと鋭く指摘できる著者ならではの優れた鑑識眼を証明するものであり、また、現在の食品工場の実態についてスナップ写真を巧みに配して説明するものである。得に、冒頭の2枚の写真、一方は電機回路基盤の生産ラインであり、他方は水産加工場の生産ラインは印象的である。生産ラインに立ち並び構図は同じにしか見えないが実態はまったく違うとのコメントがはいる。前者は分業の論理でパート従業員がすばやく整然と対処しているのに対して、後者は同じ作業を個人完結のばらばらでやっているという。作業標準化の視点を取り入れてなく、分業が行われていないという。あんどん方式やかんばん方式も取り入れず、「見える化」されていないと述べている。こうした興味深い事例を水産加工場やパン工場、野菜加工工場そしてこんにゃく工場などたくさん紹介している。実例を記すことで、このテキストは説得力を格段に増していると言える。 第3章は食品工場が生産性をさらに高めるための道具が詰まった宝箱と見て良い。分業化のすすめ、作業標準化のすすめ、7S(従来の5Sに殺菌のSと洗浄のSが加算された)、見える化の工夫、流れ作業化の工夫、あんどん方式、かんばん方式、メイクスパン短縮化の技法(これには著者が開発した「アドリブ」なる生産管理ソフトがある)などを解説している。図表3-32から36の5枚の図は、メイクスパンの重要性をスケジュールの観点から分りやすく図解して読者に訴えており、著者の試みは成功していると言えよう。6節のイギリスパンの事例は、非常にわかりやすい事例であり、読者の関心を呼び起こすために簡単な数値例を用いて、問題の本質を突いていると思われる。配送ドライバーのずさんな酵母菌管理手順が食パンのふくらみが不均一となった原因であったことは、一層この事例の説得力を高めている。著者の優れた粘り強い指導力が解決に導いた。 本書の貢献 本書の中核には、食品製造業向けに著者が開発した生産管理ソフト「アドリブ」があるわけで、これについての説明がやや不足していたこと、および簡単なシュミレーションを使った、既存ソフトとの比較検討があればより説得的な論旨が展開できたと思われる。この点で、図表の数字が細かくて読み切れない部分が惜しまれる。しかし、これらはマイナーな点であって、著者の貢献を損なうものではないことは当然である。 まず、これまでほとんど論じられなかった食品工場の生産管理を真正面から取り上げた点である。組立型工場中心の生産管理論に対して、プロセス型工場の生産管理論の必要性を主張した。経験と勘による生産管理の不安定さ、メイクスパンの延長、手持ち・手空きを生産性向上の大きな障害として明示したことである。 つぎに、食品工場の生産管理論の1つの雛形を提示したことである。生産性向上のキーとしてメイクスパンの短縮の必要性を痛感した著者は、スケジューリングを工夫して、各ラインの労働調節をスムーズにして平準化することで余剰人員を削減し生産コストを下げる方向を示した。また、そのための管理ソフトの基本的な発想を説明している。 最後に、日本語の書き手として、絶えず読者を意識しながら記述をすすめており、非常に分りやすい論調となっていることを付記したい。 |
松村信雄先生著 「ITCプロセスガイドライン」と「食品工場の生産管理(弘中泰雅[著])」で進める食品工場のIT化」 |
魚水 第54号 秋冬号 平成23年(2011) |
食品製造業の生産性は製造業平均の約60%しかない。その為「生産性を上げたいが思い通りに行かない。」、「何とか残業時間を削減したい。」そんな食品工場が多い。食品工場の低生産性の原因は何か、どうすれば生産性は向上するか、そんな人の為に本書は書かれている。 筆者は食品企業に10余年在籍後、世界初の家庭用製パン器開発の為に入社した船井電機鰍ナ、トヨタ生産システム(TPS)を源流とする船井生産システム(FPS)に遭遇した。FPSの考え方や生産管理の重要性を理解するうち、「食品工場の生産性は何故低いか」を考える様になった。 電機製造業の生産性は何故高いか、食品と電機工場の生産性差はどこにあるか。食品工場には生産に関して取り組むべき課題が有る。筆者はその課題は生産管理のノウハウ不足であると考えている。食品工場には生産管理の知識が間違いなく必要であり、食品工場向け生産管理の教科書がなければならない。本書にはその課題と解法が述べてある。食品工場の生産性向上に取り組む企業人に間違いなく有益な書である。 |
パンニュース 2011年(平成23年)10月25日(火曜日) 第2563号 |
テクノバの弘中泰雅氏の「ムダをなくして利益を生み出す 食品工場の生産管理」が、日刊工業新聞社から発刊された。製造業の中でも、食品工場は生産性が低いといわれ、食品製造業の労働条件に影響を及ぼしている。弘中氏は長年、その原因と生産性向上の方法を考えてきたという。その結果、食品製造業の場合、生産管理のノウハウが不足しているとの結論を得た。 ところが食品製造業の本がどこにもない。本書は、弘中氏自らが食品製造業や電機製造業を経て、その後の食品工場でのコンサルティング経験をもとに、食品製造業に必要な生産管理の知識と考え方、生産性向上の手法、実践事例など、生産管理の教科書というべき内容を著している。 「低生産性業種の生産性を向上し、これに従事する人たちの勤務状況を少しでも変えたい、という思いでこの本を書いた」。 A5判204n、本体価格2000円+税 |
生産性新聞 日本生産性本部 2011年(平成23年)10月15日 |
食品製造業の生産性は、製造業平均の60%しかない。その原因として、トヨタ生産方式のような手法がフィットせず、生産管理のノウハウが不足していることが指摘される。著者は、「生産性向上には熱意が必要だが、熱意だけでは生産性は上がらない。そこには知識が不可欠」と強調する。 本書では、食品製造業に必要な生産管理の知識・考え方や生産管理の基本的原理、食品工場に必要な食品安全・管理会計、さらに著者がかかわった食品工場の改善事例を豊富に盛り込んでいる。管理ノウハウをわかりやすく解説した本書を広く活用したい。(日刊工業新聞社、204n、本体価格2000円) |
食品工業 光琳 平成23年10月15日 Vol.54 No.19 |
「生産性を上げたいが、どうしても思い通りに行かない」「生産性を上げることで、なんとか残業を削減したい」。 「そんなことを考えている食品工場が多いのではないでしょうか。一般的な製造業の工場に比べ、食品工場の生産性は低いと言われる。その原因は何でしょうか。そしてどうすればその生産性は向上するのでしょうか。これが以前から私が考えてきたことであり、この本のテーマです」 著者はこのように語る。食品工場における生産性とは、なぜ食品製造業の生産性は低いのか。その理由を人口変化に対する対応の遅れ、中小企業の職人的体質、食品生産経営工学の欠如に求めている。「食品工場における生産管理」の章では、生産管理、生産管理の歴史、生産計画、工程管理、購買管理などの各項目をもう一度洗い直し、定義づけている。 そして、「食品工場の生産性向上の手法」で生産性を上げる手法を解説し、「実践事例」で具体例を取り上げている。この具体例もあるので読者は参考にしやすいだろう。 生産性向上には熱意が必要だが、熱意だけでは生産性は上がらない。そこには知識が不可欠である。現在の厳しい経済下で、最大の従事者が勤務数する日本の食品製造業が、今後も生き残り、さらに継続的発展を成し遂げるためには、生産性の向上が必要なのだ。 (日刊工業新聞社 定価:本体2,000円+税) |
ベーカータイムス 平成23年9月10日 土曜日 |
テクノバ(株)代表取締役の弘中泰雅氏は8月30日、日刊工業新聞社からムダをなくして利益を生み出す「食品工場の生産管理」を出版、販売が開始された。同書では、なぜ食品工場の生産性は低いのか、食品工場における管理、食品工場の生産性の手法などが、詳しく解説され、実践事例も載っている。 ▽仕様=A5判、モノクロ204ページ▽定価=2000円+消費税 |
日刊速報 水産タイムス 2011(平成23)年 8月22日(月) |
日刊工業新聞社から弘中泰雅著「ムダをなくして利益を生み出す 食品工場の生産管理」(
税込2100 円)が発刊された。食品という特殊なモノの生産性を上げるための管理ノウハウを、事例を交えてわかりやすく解説。日本の食品製造業の現状から、生産管理の基本、生産性向上の手法から実践事例まで記載している。 食品製造業の生産性は、製造業平均の60%しかない。この一番の原因は、トヨタ生産方式のような手法がフィットせず、生産管理のノウハウが不足していること。先端的な情報機器の基板生産ラインの状況と各種水産加工、大中小パン工場、洋菓子工場、こんにゃく工場、野菜工場、ミート工場、冷凍生地工場など多くの食品工場を比較した事例は食品工場の生産性向上に役立つ。食品工場におけるQC七つ道具による問題解決事例も記載している。 |
●カスタマ―ブックレビュー |
* 食品製造を一括りにせず、生産性、生産形態から分類し、客観的な分析がなされている。 生産管理に関わる用語の解説を始め、各種の手法をベースに基本に立ち返ることの重要性が説かれている。 そして、常識を打ち破る具体的なヒントが数多くちりばめられている。 本書は、食品製造に関わる者に自身の足許を見直す良い機会を与えてくれると共に、第三者が食品工場を訪問する際の見るべきポイントを与えてくれるおすすめの一冊である。 |
* 著者はこれまでのご経験と様々な統計データをもとに、あらゆる角度から”なぜ、食品製造業の生産性が低いのか”を分析され、日本の食品工場に潜む問題点を鋭い切り口で指摘されています。 そしてその低い生産性を向上させるためにはどういうことに着目し改善していくべきかが項目ごとにまとめられています。実践事例も豊富に掲載されてます。 「ああ、そうだったのか」、「こういうことも生産性向上につながるのか」と、納得と気づきの連続です。 「食品工場だから、田舎の中小企業だから、少量多品種生産工場だから生産性が低いのは仕方がないのか。何とかならないか?」と考えている経営者、管理職のかたにおすすめの1冊です。また製造現場作業員の教育にも使える本だと思います。 |
* 食品工場の多くは、筆者が指摘するように生産性は低いが、今まで、その生産性で生き残ってこれたのもひとつの事実であり、また、人は、食品を摂らなくなることはないだろうから、食品工場はなくならないだろう。これも間違いではないだろう。が、だからといって、今までと同じことをしていて食品工場が生き残れるということではない。
ちなみに、日本全国、津々浦々にあった食品や日用品を販売する商店は、ここ数十年の間に、効率の良いコンビニやスーパー等に衣替えしたか、取って代わられた。食品工場も、その業態がなくなることはないが、これから、人口が減ることを考えれば、生産性の向上を含む事業活動の効率を高めた食品工場が、効率の悪い食品工場を淘汰するスピードが速まることは想像に難くない。 筆者は、このことを食品工場に気づいてもらうために、「なぜ、食品工場の生産性は低いのか?」から章を起こしている。これは、筆者の「問題がないことが最大の問題である」という考え方からの問いかけで、根底に「今の生産性に甘んじることなく、敢えて高い目標を掲げ、それを実現するための不具合をあぶり出し、それをつぶして成長しよう」という発想がある。現状の生産性を高めようという発想のない経営者にとっては「猫に小判」でしかないかもしれないが、経営者にこの気づきがあり、生産性を常に高めていこうとする不断の努力の継続があれば、その後の章で筆者が網羅的かつ豊富に提供する、食品工場において、広い意味で生産管理をどう捉え、何をどうすればよいのか、についての知識や考え方、参考事例に、新鮮な「意味・意義・納得」を見つけることは難しくないであろう。 本書は、食品工場の経営者、管理者にとってだけでなく、食品工場の経営戦略、IT戦略を指導・コンサルティングする、コンサルタントや「ITコーディネータ(経済産業省推薦資格)」等にとっても、経営者の「気づき」を促すポイントの探索から、具体的な戦略策定までをカバーする、貴重な「教科書」になる好著である。 |
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