2010年 日本穀物科学研究会

第141回例会

2010年2月6日(土)13:00より高津ガーデン(大阪市天王寺区東高津町7-11)にて第141回例会ならびに総会を開催いたしました。 
テーマ  
 『穀物科学における研究の現状と今後の動向』

講演  杵つき方式,スタンピングミキサーによる混捏および製パン特性について
                              本 忠志 氏 中井機械工業
                              前田智子 氏 兵庫教育大学大学院 准教

従来にない混捏機を弊社より開発し販売を開始しております。
このミキサーと通常のミキサーによる生地物性を兵庫教育大学大学院准教授前田智子氏の手で調査して頂きました。その結果を紹介致します。尚、調査項目は下記の通りです。


1.実験試料
1CW1000g、塩化ナトリウム20g、上白糖65g、生イースト30g
ショートニング60g、水800g(小麦粉重量に対して80%)、680g(小麦粉重量に対して68%)

2.実験方法
2−1.生地の調製 Normal mixer使用 低速5分、中速6分、高速2分で混捏。Stamping mixer使用うす2分、きね10分で混捏。このミキサーのミキシング方法について皆様、ご存じないと思いますのでビデオでご紹介します。(3分間のビデオを見て頂きます)


2−2.色彩測定

2−3.ファーモグラフ

2−4.製パン試験
 製パン試験はAACC法ストレート法により行った。全ての材料を秤量後混合し、stamping mixer 及びnormal mixerを用いて混捏した。

2−5.パンの比容積

2−6.パンの破断試験及びテクスチャー試験

2−7.エキステンソグラフ

2−8.画像解析

3.各種試験の結果はパソコンを使いお見せします。

4.各種試験の結果は数値が示す通りNormal mixerと Stamping mixerでは明らかにことごとく違っております。時間の許す限り1、2の点で特に着目した個所をご説明します。

5.Stamping mixerで作られて、実際に販売されている製品をご紹介します。

以上の内容で発表致します。

本 忠志 氏
  カナダにおける新規小麦の育種・栽培の現状と北米・カナダにおける近年の生産状況
                              Mr.Derek Sliworsky  カナダ小麦局駐日代表  
 Mr. Derek Sliworsky
 
   25年前の「関西穀物科学研究会」雑感
                             原田 隆 氏   日清製粉梶@鶴見工場 工場長

原田 隆 氏
     オオムギデンプンを中心にした最近のデンプン科学
                    
        光永 俊郎 氏   近畿大学名誉教授

 われわれにとってコムギ、コメ、トウモロコシ、オオムギなどの穀物は重要な食料である。これらは主要なエネルギー供給源として炭水化物、タンパク質、脂質を含んでいる。特にこれらの穀物の炭水化物の主成分はデンプンである。デンプンはセルロースに次いで自然界に多量に存在するリサイクル生物資源である。とりわけ,穀物中のデンプンはエネルギー源であるだけではなく,食品・食物の食味、加工・調理特性などに大きな影響を与える。またデンプンから作られる種々の食料素材は重要な役割を果たしている。さらに、デンプンは繊維,医薬,化学工業などのいろいろな分野でも広く利用されている。現在、デンプン科学は以下の3研究分野で,それぞれ目覚しい発展を遂げている。

 基礎科学
  
1.デンプンの構造 2.生合成と分解 3.化学反応 4.機能的性質
 応用科学
  1.各種デンプンの製造と利用 2.各種化工デンプンの製造と利用 3.デンプン起源糖質と利用
 デンプン関連酵素科学
   1. 種類と構造  2.作用特性と利用

 この141例会ではデンプンの構造に関する最近の知見について紹介する。
デンプンの構造は分子構造(微細構造、結晶構造)と固体構造(球塊構造、顆粒構造)の2つの構造レベルで研究が展開され,それぞれの領域の発展に以下の研究技術が貢献している。

 分子構造
  微細構造
    高純度アミロースとアミロペクチンの調整、微細構造解析法
  結晶構造
    X線小角拡散法、X線広角散乱法、X線回析粉末法
  固体構造
   球塊構造顆粒構造
    顕微鏡(光学、走査型電子、透過型電子,原子間力)観察、酵素分解法

 デンプンは極めて単純な1種類の分子のグルコースをベースとして構築された物質であるが,最近までその全貌は不明であった。
ここ十数年の科学技術の進歩によりその姿が少しずつ明らかにされつつある。デンプンの構造の完全な解明は今後の穀物科学の発展に不可欠であり,その成果により現在の常識をはるかに超える新規素材を手に入れることも可能になると考えられる。 以上

光永 俊郎 氏
総 会


 懇親会
連絡先 三宅製粉梶@(〒544‐0034 大阪市生野区桃谷3−2−5)
日本穀物科学研究会事務局 林 孝治(Tel 06−6731−0095、Fax 06−6731−0094
E‐mai:hm@miyakeseifun.co.jp   
TOPに戻る
HOMEに戻る