2007年 日本穀物科学研究会

第129回例会

2007年2月2日(金)13:30より大阪府庁新館別館多目的ホールにて第129回例会並びに総会を開催いたしました。 多くの方にご参加いただきました。
テーマ  ベーカリーシンポジウム
総会
講演 Present Situation and Future Scope in Rye Bread and White Bread in Europe
      Prof. K. Poutanen (VVT Trchnical Research Center of Finland, University of Kuopio)
 種々の慢性病に対し、全粒を利用した食品および穀物繊維の予防効果についての栄養学的な研究が急速に発展している。この事実は特に、米国では既に食事への推薦、健康への要求に反映されており、このことが全粒穀物および穀類由来の繊維の豊富な食品の増加の動機付けとなってきた。ヨーロッパにおいても、食品に関して作成された栄養と健康の要求に関して承認されたEC規制に起因して興味が示されている。向こう2年後にはシリアルフードに関連した要求の反映と影響が見られるのである。
 ヨーロッパでは小麦は最も有力な製パン原材料であるが、現在のところでは精白した粉で焼成してパンを配達することについては楽観的である。北、あるいは東ヨーロッパでは、ライ麦パンを伝統的に主として全粒粉を用いて焼成している。健康的、機能的食品に対する最近の食品の傾向はパンの焼成部門にも反映されている。美味しさは食品の選択に影響を及ぼす最も重要な要因であるので、新しい技術的な解決は現代の消費の要望に合致する健康的なシリアルフードを供給するべきである。
 将来の食品加工における挑戦は、消費者の味覚および簡便性を実現させるような形で、原材料の持つ健康的な価値を保持したまま最大限に利用することにおかれている。
 EUの5年間のヘルス グレイン プロジェクト (2005~2010) では消費者の健康のために、特に小麦とライ麦でのヨーロッパの穀粒を活用することが目的であり、かつ健康効果を持ち、新しく夫々の必要に応じた穀物由来の材料開発が目的である。43名の研究パートナー、類似した産業基盤の中での50社以上、および栄養情報ネットワークを通して20名以上の専門家からなる討論会がある。このプロジェクトは機能性を持つ穀物をベースとした製品の開発のために、穀物から消費者への繋がりを対象としており、産業およびその他の利害関係者にサイエンスを橋渡しするための技術移転、あるいはコミュニケーションプログラムを持っている。この研究プログラムは消費者の期待している商品の研究、穀物加工のための植物の育種、新規バイオプロセスおよび穀物加工実施のために必要な製造技術のためのバイオテクノロジーのツールボックスの開発、食品の代謝的なメリットの背後にあるメカニズムの研究、健康関連のシリアルフードの判断の識別を含んでいる。更に、食物繊維が高く、外皮成分を含み、且つ新技術の実現可能性を持ち、味覚にも優れたシリアルフードの製造が可能であることが強調される。   
Prof. K. Poutanen
 
パン作りにおけるフランス産小麦粉と国産小麦粉の製パン性における特性

                     山崎豊氏 (潟Tンジェルマン 技術開発部長代理)

1.日本におけるフランス産小麦の認知度と国産小麦の動向

    フランス産小麦の代表的な商品〔順不同〕

アパシュ/オルヴァンテ/カンレミ/スワッソン/ユコ/アズテック/レシテル等
 *     スワッソン(丸信製粉) 単挽き小麦粉/シャンパーニュ地方
 *     カンレミ(奥本製粉) 単挽き小麦粉/リマーニュ地方
       ラトラディションフランセ−ズ(奥本製粉/ヴィロン社) ボース地方
 *     ムールドピエール(熊本製粉) 石臼挽き小麦粉/リマーニュ地方
 *     テロワール(日清製粉)
 *     プジョン(鳥越製粉)
 *     シャルトル〔旭製粉〕 シャルトル地方
 *     T55グリュー(アルカン/DGF社)
 *     T110ビオ〔アルカン/DGF社〕 オーガニック/石臼挽き小麦粉
 *     バゲットムニエ(パシフィック洋行/ユシュデ社) ロワール地方
 *     T65(パシフィック洋行/ユシュデ社) ロワール地方

・ 国産小麦粉の代表銘柄
            はるゆたか〔北海道産〕
            ホクシン〔北海道産〕
            春よ来い〔北海道産〕
            はるひので〔北海道産〕
            キタノカオリ〔北海道産〕
            チクゴイズミ〔九州産〕
            ニシノカオリ〔九州産〕
            みなみのかおり〔九州産〕
            南部小麦〔岩手産〕
            農林61号

2.国内産小麦粉とフランス産小麦粉でのパンの試食
  ホクシン〔国産〕とムールドピエール〔フランス産〕
     製法の違いによるテイスティング〔レシピは資料2参照〕
   ポーリッシュ〔伝統的製法・充分発酵させることにより粉の風味向上〕
   ルステック (長時間発酵・ミキシングを極力控え粉の酸化を防止

3.フランス産小麦粉と国内産小麦粉のパン製造における問題点と注意点
     フランス産小麦粉仕込みについて
          スラントミキサー〔資料1参照〕
          硬水の水

発酵について
     国内産小麦粉
仕込みについて
  *     スパイラルミキサー〔資料1参照〕&縦型ミキサー
  *     軟水の水
発酵について

4.フランス産小麦粉と国内産小麦粉今後の市場
       フランス産小麦粉について
       国内産小麦粉について

5.フランスの新しい製パン法〔労働条件改善〕
   ドーコンディショナーの普及
       成形冷蔵法
       生地玉冷蔵法
       生地冷蔵法

6.石臼挽き製粉〔オーガニック〕について〔資料3参照〕
   フランスでの現状
     日本での現状

山崎豊 氏 
 懇親会
連絡先 三宅製粉梶@(〒544‐0034 大阪市生野区桃谷3−2−5)
関西穀物科学研究会事務局 (Tel 06−6731−0095、Fax 06−6731−0094
E‐mai:k-kondoh@iris.eonet.ne.jp   
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