2005年 日本穀物科学研究会
第124回例会
2005年11月25日(金)13:30よりグランキューブ大阪(大阪府立国際会議場)にて第124回例会を開催いたしました。 |
テーマ | 『日本人好みのサワードウブレッドの開発』 |
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講演 | 新しいサワードウの開発と利用 (株)アンデルセンサービス ジーグフリート研究所 森 治 彦 |
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天然酵母パンを追い求めて行くと、遂には欧米のサワーブレッドに行き着く。世界の人々が望むパンの品質は、それぞれ自らが作り出してきたものであり多様であるがその目標は同じ焦点にあろう。ここでは、従来の伝統的な技術を受け容れながら科学技術の進歩に基づく、安全、安心をも考慮した能動的な製パン技術の追及を試みてきた一例としてサワーブレッドの開発を紹介し、さらに最近の欧米でのサワードウ研究の動きについて紹介する。また、サワードウの、新しい視点からの開発と利用について話題を提供したい。 T. 天然酵母パンからサワーブレッドへ;いわゆる“天然酵母パン”は、@”天然酵母”中の微生物群、主に乳酸菌、A乳酸菌棲息源である果実等の発酵基質、B低温や長時間等、製パン条件が複雑に絡んで出現したものであり、究極の“天然酵母パン”はサワーブレッドと言えよう。なお、一般的には、”天然”の用語は排除すべきであろう。 V. 第3回国際サワードウシンポジウム; Oct. 25 - 28, 2006 Bari ? ITALY |
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森 治彦氏 | |||||
乳酸菌等を使用した発酵種の展開 協和発酵フーズ株式会社 食品開発研究所 井藤隆之 |
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近年パンメーカーでは、乳酸菌や酵母などを含む発酵種を使用した製品開発が進められている。
これまで発酵種を使用する場合、風味改良に着目して検討が進められるケースが多く見られてきたが、昨今ではその他の発酵種の機能に注目が集まっている。今回以下の2件についてご紹介したい。 (1)日持ち向上効果 (2)ソフト性向上効果
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井藤隆之氏 | |||||
「分級小麦粉によるサワードウの醗酵特性と製パンへの応用について」 兵庫教育大学大学院 学校教育研究科 生活・健康系教育講座 前田 智子 |
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我々日本人は古くから米を主食としてきたが、食生活の欧風化、生活スタイルの多様化と共に米の消費量は減少し、パン、うどん、パスタ、ラーメン等の小麦粉製品の摂取が着実に増えつつある。小麦は元来豊富なビタミン、ミネラル、食物繊維を含み栄養価の高い食材であるが、現在のロール粉砕と篩分による製粉法ではこれらの大部分が除去される。特に食物繊維は大腸癌、心臓疾患等の発生を抑制する重要な成分であるが、日常の食生活では充分に摂取されていない。しかし最近開発された改良型酒米用搗精機を用いた「分級製粉精粒法」では、小麦穀粒を外層部より中心部まで段階的に粉砕することができる。従って、従来法での製粉歩留まりの改善と栄養素を多く含む分級粉の有効利用が可能となり、美味以外の付加価値のある食材を目指すことができる。本研究では分級粉の製粉特性ならびに特にサワードウへの応用を実施し、分級粉特有の製パン方法の検討を行った。
1. 分級小麦粉の調製 2. 分級小麦粉の最適製パン方法の検討 3. 分級小麦粉のサワードウへの利用 4. 分級小麦粉サワードウの特性 5. 分級小麦粉サワードウブレットの品質 以上の結果より、分級粉は長時間醗酵を伴う製パン方法によりドウの物性とパンの品質改善が可能であり、特にサワードウブレッドは、分級粉の製粉特性をより効果的に利用できる適当な製パン方法であると考え |
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前田智子氏 | |||||
懇親会 |
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連絡先 | 三宅製粉梶@(〒544‐0034 大阪市生野区桃谷3−2−5) 関西穀物科学研究会事務局 林 孝治(Tel 06−6731−0095、Fax 06−6731−0094 E‐mai:miyake@mbox.inet-osaka.or.jp) |
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