2002年 日本穀物科学研究会
第111回例会
2002年9月20日(金) 14時30分より財団法人 日本食品分析センター大阪支所で第111回例会が開催されました。 通常九月の例会は工場見学を行ってきましたが、今回は分析センターのご協力を得て当センターで行いました。 時期的にも輸入食品の違法添加物の混入などの事件が多発している中、タイムリーな企画となり多くの方が参加されました。 |
内容 | 最近の食品分析における依頼動向 | |||
講演 | 財団法人 日本食品分析センター 業務部 吉田員則 http://www.jfrl.or.jp |
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1. 最近の話題 ・中国産ホウレンソウ他:残留農薬 パラチオン、クロルピリホス、ディルドリン ・中国産うなぎ:水銀 ・中国産はちみつ:ストレプトマイシン ・中国産塩:フェロシアン化物 ・中国産健康食品:医薬品成分 N-ニトロソフェンフルラミン、フェンフルラミン、センノシド、トリヨードチロニン、チロキシン ・果実類(国内):未登録農薬使用 ダイホルタン(カプタホール)、プリクトラン(シヘキサチン)、ナフサク(α-ナフタレン酢酸)、PCNB ・香料:許可外添加物使用 アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、イソプロパノール、ヒマシ油 ・TBHQ:許可外添加物 酸化防止剤 ・米袋:鉛 ・表示違反:産地、品種 ・アレルギー物質の表示 ・遺伝子組換え食品 ・アクリルアミド:高温で調理されたでんぷんを含む食品(ジャガイモ、パン等)において 検出。 スウェーデン国立食品局発表。 ・DON(デオキシニバレノール):小麦 暫定基準 1.1ppm |
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松下理事 業務部 吉田氏 |
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2. 受託内容 -社会的背景- 1) 品質管理 ・能力、設備、コスト等の理由より ・自社オーバーフロー(大量品目、人手不足) ・栄養分析(栄養表示、配合チェック) ・微生物(食中毒菌、有用菌) ・有害物質(重金属、農薬、ダイオキシン) ・規格基準(食衛法、自主規格、自社規格) 2) 流通販売(客観的な試験結果が必要) ・販売促進 ・納入先からの要望 ・他社との差別化 ・栄養分析(栄養表示、配合チェック) ・微生物(食中毒菌、有用菌) ・有害物質(重金属、農薬、ダイオキシン類、環境ホルモン) ・規格基準(食衛法、自主規格、自社規格) 3) 表示に使用 ・栄養表示 ・成分表示 ・規格適合 ・品質保持期限 ・遺伝子組換え食品 ・アレルギー物質 4) 研究開発(新製品開発、新規事業、PL法対策) ・新製品開発、新規事業等 有効成分、機能性成分、安全性,規格設定 ・PL法対策(開発時時点での科学的レベル) 規格基準の確認、有害物質、生物試験 ・食品機能評価試験 |
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スライド | ||||
3. 受託試験の内容 -食品- 1) 栄養 ・水分、たんぱく質、脂質、灰分、炭水化物、糖質、食物繊維、エネルギー ・Na、Ca、K、Fe、Mg、P ・ビタミンA、B群、C、D、E、K、葉酸、パントテン酸 ・糖,糖アルコール類の分別定量、オリゴ糖の定量、多糖類の構成糖の検索 ・アミノ酸各種、たんぱく質の分子量分布・分子量の測定、機能性ペプチド ・脂肪酸、ステロール類、りん脂質 ・アミノ酸、ペプチド ・核酸関連物質 (DNA、ヌクレオチド、塩基) ・有機酸(クエン酸、リンゴ酸、酢酸) 2) 衛生 ・食品衛生法に合致しているか ・不衛生食品等の販売等の禁止(食品衛生法第4条) 微生物、有害物質 ・食品添加物の使用基準の判定 食品衛生法第6条:未許可添加物 食品衛生法第7条:使用基準 ・各種個別基準の判断(食品衛生法第7条) ○乳及び乳製品の成分規格等に関する省令 [牛乳、アイスクリーム、ヨーグルト、乳酸菌飲料,乳飲料等] ○食品,添加物等の規格基準【厚告370号】 [清涼飲料水、食肉製品、魚肉ねり製品、冷凍食品、容器包装詰加圧加熱殺菌食品 (レトルト食品)、穀類,豆類,果実,野菜,種実類,茶及びホップ等] ・微生物の菌数測定、食中毒菌の検出、分離菌の同定 ・脂質の劣化の指標(酸価・過酸化物価) ・保存試験(賞味期限、官能試験等) ・水道法水質基準に基づく水質試験 ・残留農薬、残留動物薬、残留合成抗菌剤、残留抗生物質 ・重金属(ヒ素、鉛、水銀、Cd等) ・化学汚染物質 (PCB、コプラナーPCB、ダイオキシン、環境ホルモン等) ・かび毒(アフラトキシン、フモニシン、DON等) ・マリントキシン(麻痺性貝毒、下痢性貝毒、ドウモイ酸等) ・異常品(異臭、異物、変色)の原因調査 -微生物試験、赤外分析計、蛍光X線分析装置、GC-MSなどによる 3) クレーム対応 ・異臭(カビ臭:藻/ジオスミン、ボルネオール、木製パレット/TCP、TCA) ・異味(酸味:腐敗、苦み:薬物混入) ・変色(緑変:Cu、着色料、微生物) ・異物混入(髪の毛、虫、金属片、食物かす、目やに) ・安全性(規格基準、食中毒菌、重金属類、マウス経口急性毒性) 4) 遺伝子組替え ・ダイズ ・Roundup Ready ・ジャガイモ ・New leaf ・New leaf Plus ・New leaf Y ・パパイヤ ・55-1 ・トウモロコシ ・CBH351(StarLink商品名) ・MON810 ・T14 ・Event176 ・DBT418 ・DLL25 ・GA21 ・NK603 ・Bt11(デント種) ・Bt11(スイート種) 5) アレルギー物質表示 ・表示義務(5品目) 小麦、卵、乳、そば、落花生 ・可能な限り(表示19品目) あわび、いか、いくら、えび、かに、さけ、さば、牛肉、豚肉、ゼラチン、オレンジ、 キウイフルーツ、モモ、りんご、大豆、鶏肉、まつたけ、やまいも、くるみ ・特定原材料の検出法 ・ELISA法 ・電気泳動法 ・ウエスタンブロット法 ・動物試験(PCA法,ASA法,AW法) ・PCR法 6) 機能性評価試験 @試験管レベル,A細胞レベル,B動物レベル,Cヒトのレベル の4段階 ・活性酸素(スーパーオキシド)消去機能 ESR(電子スピン共鳴)法など ・抗酸化機能 @リノール酸を基質として共役ジエンまたは過酸化脂質の増加を指標 ACDM試験(AOM試験)などの脂質酸化加速法 ・抗変異原機能 Ames試験系を活用する方法 ・抗がん性機能 癌細胞を大腿部に移植したマウスを用いる方法 ・抗アレルギー機能 ラット腹腔内のマスト細胞を用いる方法 ・血糖値上昇抑制機能 ブドウ糖を投与したラットやマウスを用いる方法 ・ミネラル吸収促進機能 ラットの骨重量,密度,強度を指標 ・その他の機能 血圧降下機能, 美白(メラニン産生抑制)効果など |
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センター内 見学ツアー |
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各階責任者 による説明 |
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Q&A | ||||
懇親会 | ||||
連絡先 | 三宅製粉梶@(〒544‐0034 大阪市生野区桃谷3−2−5) 関西穀物科学研究会事務局 林 孝治(Tel 06−6731−0095、Fax 06−6731−0094 E‐mai:miyake@mbox.inet-osaka.or.jp) |
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